10月に入ると、飲食店には「12月の金曜日、20人で入れますか」「飲み放題付きのコースはいくらですか」という電話が増えます。営業中に受話器を取り、手帳に人数と日付を書き、あとで個室の空きと見比べる。人数の確定は1週間前になってからで、前日に「3人減りました」と連絡が来ることもあります。
先に、要点をまとめます。
- 受付を始める前に、日ごとに受ける団体の数と席、出せるコース、人数確定の締切を決めておく。電話のたびに考えると、同じ日に団体を入れすぎたり、条件が人によって変わったりする
- 予約のときに、人数・コース・飲み放題・食物アレルギー・支払い方法・締切・取り消しの条件を幹事と文字で共有する。口頭だけだと、当日や請求の場面で「聞いていない」が起きやすい
- 予約の後は、控え・締切前日の人数確認・前日の案内の3回に分けて連絡する。最終人数を店から聞きに行く形にすると、直前の変更がまとまって届く
以下、忘年会の予約で受付が混乱する理由、受付前に決めること、繁忙日の枠の配分、幹事への確認、人数変更と取り消しの扱い、予約後の連絡、来年につなげる方法、起こりやすい失敗を順に整理します。
忘年会の予約で受付が混乱するのはなぜ?
団体予約は、日付・席・コース・人数・支払いの5つが決まるまでに何度もやり取りが必要で、その条件を予約ごとに電話で決めているからです。
通常の予約は「日時と人数」が決まれば終わります。忘年会の団体予約は、決めることが多く、決まる時期もばらばらです。
| 混乱の原因 | 受付で起きること | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 同じ日に団体が集中する | 12月の金曜に個室の取り合いになり、断る・詰め込むの判断を電話中に迫られる | 日ごとに受ける団体の数と、使う席の組み合わせ |
| 人数がなかなか決まらない | 「20〜25人」の仮予約が残り、席と仕込みの量が決まらない | 人数確定の締切日と、仮予約の期限 |
| コースの条件が人によって違う | 飲み放題の時間や最少人数を、電話のたびに説明が変わる | 団体向けに出すコースと条件の一覧 |
| 支払い方法の確認が遅れる | 当日の会計で、一括か個別か、領収書の宛名で手間取る | 予約時に聞く支払い方法と領収書の項目 |
| 取り消しの条件が口頭だけ | 直前の減員や取り消しで、料金の扱いがもめる | 締切後の変更と取り消しの条件を書いた文面 |
右の列は、シーズンが始まる前に一度決めれば、あとは予約ごとに同じ文面で伝えられます。
受付を始める前に何を決める?
受付開始日、日ごとに受ける団体の数と席、団体向けのコースと最少人数、人数確定の締切、支払い方法、取り消しの条件の6つです。決めた内容は、予約画面と予約完了の控えにそのまま載せます。
- 受付開始日: 前年の問い合わせが入り始めた時期を目安に決め、店頭・SNS・予約画面で同じ日を知らせる。開始日が決まっていないと、早い問い合わせに個別の対応が必要になる
- 日ごとの団体数と席: 個室・半個室・貸切のどれを、1日に何組まで受けるかを決める。席の数に加えて、厨房が同じ時間に出せる料理の量も上限になる
- 団体向けのコースと最少人数: 出すコースを2〜3種類に絞り、飲み放題の時間、最少人数、ラストオーダーの時刻を一覧にする
- 人数確定の締切: 「◯日前までに最終人数をご連絡ください」と日数で決める。仕入れと仕込みに必要な日数から逆算する
- 支払い方法: 一括払い・個別払い、請求書払いに対応するか、領収書の宛名と但し書きをいつ聞くか
- 取り消しの条件: 締切後の減員と、取り消しの扱いを文面にする(詳しくは後の節で扱います)
繁忙日の枠はどう配分する?
席の数から枠を決めたうえで、団体の開始時刻をずらし、厨房の提供が同じ時間に重ならないようにします。12月の金曜など問い合わせが集中する日は、受ける団体の数を先に上限として決めておきます。
次は、席数40席の店を題材にした検討例です。実在の店舗の実績ではありません。自店の席の配置と厨房の人数に置き換えて確認してください。
| 席 | 席数 | 団体予約での使い方 |
|---|---|---|
| 個室A | 10席 | 8〜10人の団体を1日1組 |
| 個室B | 10席 | 8〜10人の団体を1日1組。Aとつなげて20人まで |
| テーブル席 | 20席 | 一般の予約と、4〜6人の小さな忘年会 |
この配置では、20人を超える団体は貸切にしない限り受けられません。「25人で入れますか」と聞かれたときに、その場で席を組み替えるか迷わずに済みます。
開始時刻も枠の一部です。個室Aを18時、個室Bを18時30分に始めると、最初の料理を出す時間が30分ずれ、厨房と配膳の手が足りなくなる時間を短くできます。予約画面で選べる開始時刻を団体ごとに決めておくと、幹事にも説明しやすくなります。
予約のときに幹事に何を確認する?
日時と人数(見込み)、コースと飲み放題、食物アレルギーと苦手な食材、支払い方法と領収書、幹事の連絡先、人数確定の締切、取り消しの条件への同意の7つです。
| 確認すること | 理由 | 予約画面での聞き方 |
|---|---|---|
| 日時と人数(見込み) | 席と枠が決まる | 人数は「見込み」と明記し、確定は締切までと書く |
| コースと飲み放題 | 仕入れと料金が決まる | 団体向けのコース一覧から選んでもらう |
| 食物アレルギー・苦手な食材 | 料理の作り分けに日数がかかる | 参加者の分を幹事がまとめて入力できる欄にする |
| 支払い方法・領収書 | 当日の会計時間を短くする | 一括か個別か、請求書払いの希望、宛名と但し書き |
| 幹事の連絡先 | 締切前の確認と当日の連絡に使う | 当日つながる電話番号とメールアドレス |
| 人数確定の締切 | 仕込みの量を決める | 締切日を予約完了の控えにも載せる |
| 取り消しの条件 | 直前の減員・取り消しでもめないため | 文面を表示し、確認したことをチェック欄で残す |
食物アレルギーの聞き方と厨房への申し送りは、飲食店の予約でアレルギーを確認する方法|聞く項目と厨房への申し送りで詳しく扱っています。団体予約では、幹事が参加者全員のアレルギーを把握していないことがあるため、締切前日の人数確認のときにもう一度聞き直します。
人数変更と取り消しはどう扱う?
締切までの人数変更は受け付け、締切後の減員と取り消しは、予約時に示した条件どおりに扱います。条件は予約の時点で文字にして幹事に渡し、確認したことを記録に残します。
締切の前後で扱いを分けておくと、幹事にとっても分かりやすくなります。
- 締切まで: 人数の増減は予約画面または連絡で受け付ける。増員は席の上限まで
- 締切後の減員: 仕込みを始めた分をどう扱うかを決めておく(コース料金をいただくのか、料理を持ち帰りにできるのか、など)
- 締切後の取り消し・連絡のない不来店: 料金の扱いを文面に書いておく
取り消し料を決めるときは、法律上の上限に注意します。消費者契約法第9条第1項第1号では、契約の解除に伴う違約金などを定める条項のうち、同じ種類の契約の解除で事業者に生じる「平均的な損害の額」を超える部分は無効とされています(e-Gov法令検索「消費者契約法」)。料金の設定に迷う場合は、経済産業省などが2018年11月に公表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」を参照したうえで、弁護士など専門家に確認してください。会社名義の宴会と個人の集まりでは契約の当事者が変わるため、どちらも同じ文面でよいかもあわせて確認します。
宴会・コース予約の人数変更をLINEのメッセージで受ける方法は、宴会・コース予約の人数変更対策|LINE予約とリマインドで無料から始める方法にまとめています。連絡のない不来店への対策全体は、飲食店の予約管理とNo Show対策|AI自動リマインドもあわせて確認してください。
予約の後はいつ何を送る?
予約完了の控え、締切前日の人数確認、来店前日の案内の3回です。最終人数は幹事からの連絡を待たず、店から締切の前日に確認します。
| 送る時期 | 送る内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 予約完了のとき | 日時・席・コース・見込み人数・締切日・取り消しの条件・店の連絡先 | 条件を幹事の手元に残す |
| 締切の前日 | 「明日が最終人数の締切です」、現在の人数、アレルギーの再確認 | 変更を締切までにまとめて受ける |
| 来店の前日 | 確定人数・開始時刻・終了時刻・支払い方法・店までの道順 | 当日の遅れと会計の手間を減らす |
締切の前日に連絡すると、幹事も参加者に最終確認をするきっかけになります。来店前日の案内に終了時刻と支払い方法を入れておくと、当日の会計で一括か個別かを確かめる時間が短くなります。
来年の忘年会につなげるには?
幹事の連絡先と、利用した日・人数・コース・支払い方法を顧客台帳に残し、来年の受付開始日にお知らせを送ります。お知らせを送るのは、受け取りに同意した方に限ります。
忘年会の幹事は、翌年も同じ役を任されることがあります。前年の記録があれば、「昨年は12月第2金曜に18名さまで個室をご利用いただきました」と具体的に案内でき、幹事は社内で日程を決めやすくなります。
予約の記録と顧客の情報を同じ仕組みで扱う方法は、飲食店の予約・CRM一体化ツールの選び方・費用比較で比べています。メールで案内を送る場合は、特定電子メール法に沿って、受け取りの同意を予約時に得ておきます。
起こりやすい失敗は?
「団体の上限を決めずに受ける」「仮予約に期限がない」「取り消しの条件を電話で伝えただけ」の3つです。
失敗例1: 日ごとの団体の上限を決めずに受ける。 12月の金曜に団体を3組入れ、開始時刻も同じにすると、最初の料理と飲み物が一度に重なります。席の数と、厨房と配膳が同じ時間に回せる組数のうち、少ないほうを上限にします。
失敗例2: 仮予約に期限がない。 「社内で確認してまた連絡します」という仮予約が12月まで残り、その日の別の問い合わせを断ることになります。仮予約は「◯日までにご連絡がない場合は取り消します」と期限を付けます。
失敗例3: 取り消しの条件を電話で伝えただけにする。 幹事が参加者に伝えるときに内容が変わり、直前の取り消しで料金の扱いがもめます。条件は予約完了の控えに文字で載せ、確認したことを記録に残します。
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よくある質問
Q. 忘年会の予約はいつから受け付ければよいですか?
A. 前年に問い合わせが入り始めた時期を目安に、店で受付開始日を決めて告知します。開始日を決めておくと、早い問い合わせにも同じ条件で答えられます。開始前に、日ごとの団体数、コース、人数確定の締切、取り消しの条件を決めておきます。
Q. 団体予約の人数確定の締切は何日前にすればよいですか?
A. 仕入れと仕込みに必要な日数から逆算して、店で決めます。締切日は予約完了の控えに載せ、締切の前日に店から最終人数を確認すると、変更がまとまって届きます。
Q. 予約のときに幹事に何を確認すればよいですか?
A. 日時と見込み人数、コースと飲み放題、食物アレルギーと苦手な食材、支払い方法と領収書、当日つながる連絡先、人数確定の締切、取り消しの条件への同意の7つです。
Q. 忘年会の取り消し料は自由に決めてよいですか?
A. 個人との契約では、消費者契約法第9条第1項第1号により、同じ種類の契約の解除で生じる平均的な損害の額を超える部分は無効になります。金額の決め方に迷う場合は専門家に確認し、条件は予約の時点で文字にして幹事に渡します。
まとめ
- 受付開始前に、日ごとの団体数と席、コース、人数確定の締切、支払い方法、取り消しの条件を決める
- 繁忙日は席の数と厨房の提供量から団体の上限を決め、開始時刻をずらす
- 予約時に7項目を幹事と文字で共有し、取り消しの条件は確認の記録を残す
- 控え・締切前日の人数確認・来店前日の案内の3回で連絡する
- 幹事の記録を残し、同意を得た方に来年の受付開始を知らせる
今年の受付を始める前に、昨年12月の予約表を開き、団体が重なった日と開始時刻を書き出してみてください。重なりが多かった日が、今年最初に上限を決める日です。席・コース予約と自動の案内を1つの仕組みで扱う方法は、飲食店向けの予約・顧客管理システムで紹介しています。
